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蝶夢

NL至上主義者による非公式二次創作小説サイト。

   

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酔いどれ

銀妙。R15程度。
ぬるいエロっていうか、下品。
なかなかどうして、噛み合ってるようですれ違ってるようで
わかってるからこそ、可愛げないなぁとか癪だなぁって思ってる二人にもえる

 別に特別な意図があったわけではないが、銀時はたまたまスナックすまいるの近くを通りかかった。従業員の姉が本日出勤日であることはシスコンの弟から知らされていた。その情報も銀時にとって不要なものですっかり忘れてしまっていたが、何の因果か酔い潰れたお妙を押しつけられる羽目になった。悪いね銀さん、でも銀さんぐらいにしか頼めないからァ~、深い意味はないのよもちろん、据え膳食わぬは不能じゃないの、などと好き勝手言っていた店長以下他の従業員にやる気のない目を向け、ゴリラ女としっぽりとかゴフゥッ、反論しかけたところで酔っぱらった彼女にアッパーを食らい、けれど結局そのまま家まで送ってやる。
 銀時とて酒は入っている。いい気分で酔っぱらってたってのに畜生、そういう文句はお妙を押しつけられた時から諦めている。歩いている内に酔いも随分覚めた。というか、そんな盛大に飲めるほど財布の中身があるわけでもない。お妙はというと、こちらは仕事であるため飲酒量に際限なく、今夜はどれだけ飲んだのか足下は非常に覚束ない。こういうとき銀時は少し困惑する。支えてやるべきか、触れざるべきか。そういうことをちらりと考えるのが癪に触る。面倒くせぇ。
勝手知ったる玄関を開け、おみず、と宣う彼女に、やはり勝手知ったる台所を拝借し水を入れてきてやる。お妙は拙い手つきで受け取るとコップを両の手で持ち、こくこくと飲んだ。幼い仕草と相反して口紅の残る唇が艶めかしい。はぁ、と溜息を吐く。
「ん、」
「もういいのか」
差し出されたコップを受け取って尋ねると、こっくり頷く。流しに置いて、さっさと帰るか。台所に向かおうと立ち上がりかけて、けれどそれは出来なかった。お妙が着流しを掴んでいた。
「なにこの手」
「かえっちゃうんですか」
オイオイマジで勘弁してくれそういうのは客に使え、ていうかいつもの酒乱はどうした、思ったけれど口に出しはしなかった。言ったら負けな気がした。
「帰っちゃうんですー。一人で寝れねぇってタマでもねーだろ」
「どうしてそういうこというんです?」
むすりと明らかに拗ねた口調で返される。たまったもんじゃねぇなと銀時は内心でごちた。
「何お前、その貧相な胸でも揉ましてくれるってんなら、もーちょい居てやってもいいけど」
さぁ怒れ、そして殴れ。いつもみたいに。アレ?ちょっと待てなにこのドM。銀さんS設定なんだけど。
銀時の密かなツッコミなど知る由もないお妙は、おもむろにそっと手を掴み自身の胸元へと運ぼうとした。
「…って、何やろうとしてんのォォオ!!??」
慌てて勢いよく手を引き抜き、お妙から距離を取る。心臓がばくばく言っている。え?コイツ今何しようとした?そこはマッハで裏拳だろ。キャラ崩壊すぎんだろ。
「なにって、ぎんさんが、」
「いやもういいわかったおれがわるかったもうなにもいわないでくださいすんません」
頼むこのまま寝てくれそしたら俺はとっとと帰るから、頭を抱えたかった。むしろ暴れてくれりゃーいいのに。普段ガードが固い分、たまーに見せる無防備に困る。わかってんのか、と言いたい。いや、わかってねぇだろうな。わかってんなら相当な小悪魔だが、コイツは変にウブ過ぎるから絶対無意識なんだろう。お妙は銀時の謝罪を受けて、ふふりと笑った。非常に機嫌がいいらしい。
「…お前、酔ってるだろ」
「なんでです?」
「セクハラ嫌がんねーし、妙に機嫌いいし」
あと甘えただ。銀時の言葉にきょとんとして、小首を傾げる。そうですか?そう言った表情があどけない。誘ってんのかこの女。
「そーいうの、あんま男の前でやんねー方がいいぞ。あぶねーから」
「どうしてあぶないんですか」
「どうしてって、んなのキャバやってりゃわかんだろーが。用心穴なんだろ。何ならアナログスティック試してやろーか?」
「いいですよ」
「いやだからお前そこは裏拳じゃね?暴力制裁じゃね?」
っとにこれだから酔っ払いはよー、やりづれーだろ、とボヤいて見せる。くいくい、軽く袖を引かれて本格的にまずいと思った。
「なんなんですか、どっちなんですか、ほんとにもう」
「そのセリフそのまま返すわ」
お妙は不思議そうに銀時を見た。小さく開いた唇、いつもより少しだけ弛んだ胸元。鎖骨から視線を逸らした。冗談抜きに良くねぇな、という思いが過ぎった。
「…お前、今俺が何考えてんのか、わかってねーだろ」
出た声は予想より固かった。お妙の無防備さに腹が立つ。けれど依然として、お妙は笑う。
「ねぇ、銀さん、」
そんなに悪ぶらなくて、いいんですよ?
そう、穏やかに笑った。いつもよりも少しだけ甘く、柔らかな声音が鼓膜を擽った。
「――は、」
バカだ、と思った。バカな女だ。そう思った瞬間、何かがふつりと切れてしまった。
「…ん、痛い、ぎんさ…」
畳の上に押さえつけた手首はほっそりとして、骨の細さがよくわかる。体重をかけて動けなくしてやると、一層興奮した。お妙は苦しそうな息を吐いたぐらいで、それほど抵抗しない。男として見てねぇからか。苛立ちはますます燻る。その信頼が、今夜は疎ましい。
「おもいです、おびがいたいわ」
「うっせぇ黙ってろ」
帯も腰紐も、乱暴に剥ぎ取った。これじゃ強姦だ。そうだ、幻滅しろ。そんな大層な男じゃねんだ。信頼すんな、安心すんな、傍におくな。お前が思ってるような男じゃない。
無理矢理唇を塞いで舌を絡ませると、未だ酒の味がした。突然の侵入に、驚いたように奥へと縮こまったお妙の舌をしつこく攻める。唾液の濡れた感触が更に高揚させる。
「ふ、ぎんさ…」
それでもお妙は変わらず清らかな目で銀時を見た。その瞳をもっと見ていたくて、同時に恐ろしかった。いつか軽蔑に変わるのが恐ろしかった。無垢な目で見られると、騙しているような罪悪感があった。どうでもいいと距離を取るのに、同じくらい傍にいたかった。その付かず離れずの距離を、二人は常に守ってきた。わざと誤解されるように行動しても、お妙は誤魔化されてくれなかった。それがいとおしくもあり、苦々しく、憎くもあった。お互い、似たような感情を抱えていると知っていた。
「は、ほんとに未開通かよ。濡れてんぜ?」
「………」
「とんだ淫乱だな、こんな無理矢理で感じるとか実はドMなんじゃね?開発してやろーかァ?」
卑下た笑みを浮かべて嘲笑う。泣けばいいのに、そうしたらさっと手放してやんのに。そうすれば二度と触れたりしねぇのに。
「そんな良い奴じゃねんだよ」
吐き捨てるような言葉は、目の前の人物に向けたのか、それとも。
「…あら、知ってますけど?」
肌をまさぐっていた指が、止まる。お妙は自由のきく片手でべちりと軽く頬を叩いた。全く痛みのない、たしなめるようなそれに動揺する。
「みんな、知ってますよ、そんなこと。でもそれは銀さんが自分に言うことじゃないです。誰かが銀さんに言うことです」
万年金欠の糖尿天パで、意地汚くて下品でだらしなくて適当で図々しくて、人を心配させることばかりするくせ、それが嫌だからわざと逆のことを言う、天の邪鬼。それが私にとっての銀さんですよ?
頬を撫でる手は、慈しむよう。
「…お前のそういうとこが、かわいくねーんだよ」
「私はいつだって可愛いですけど」
「そういうのって、普通自分で言わないよね」
「誰かさんが言ってくれないからよ」
口調がいつの間にかはっきりしている。酔いが覚めてきたか。はぁ、と溜め息を吐いて体を起こした。白い手首に指の形の鬱血。思っていたより力が入っていたらしい。
「痛くねぇの、それ」
「えぇ、特には」
「あと、大丈夫か?」
「?何がです?」
「下、」
言葉と共にちろりと利き手の人差し指を舐めて見せる。刹那、待ち望んでいた裏拳が顔面を抉った。
「やっぱ一緒に寝てやろーか、今夜。足りねーんじゃねぇの?」
「冗談じゃありません、さっさと帰れやこの変態がァそれ以上言いやがったら殺すぞ」
「の、前にトイレ借りてい?」
御勝手に、という言葉を受けて、気だるげに頭を掻きながら厠へ向かうと、途中寝ぼけ眼の新八と鉢合わせた。いたのかよお前、ひやりとしたものを感じるも、顔には微塵も出さない。
「あれ…銀さん来てたんですか。なんか音がするなと思ったら・・・」
「お前のねーちゃん、送りにな。便所なら俺が先だ。あと今はねーちゃんに近づかねぇ方がいいぞ、酔ってっから」
そーですか、適当な返事をした新八は眠そうだ。くるりと踵を返して自室へと帰っていった。はぁ、と何度目になるかわからない嘆息が銀時の口から漏れた。あの女も寝れねー状態になってりゃ、ザマァ見ろって話だ。あぁ畜生。




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プロフィール

HN:
黒蜜
性別:
女性
自己紹介:
社会人。
亀更新、凝り性で飽き性。
NL偏愛。
葛藤のあるCPだと殊更ハマる。
王道CPに滅法弱い。それしか見えない。

取り扱いCP:リクつら・名柊(夏目)・ネウヤコ(弥子総受け)・通行止め・イチルキ・ギルエリ・鷹冬(俺様)・殺りん・男鹿ヒル・銀妙・ルナミetc
その時々に書きたいものを、書きたいペースで。

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